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空き家を放置すると固定資産税が最大6倍に?
その仕組みや対策法を解説
近年、空き家の数が増加してきており、国による空き家対策が強化されています。
空き家対策の中には、土地の固定資産税が最大で6倍になってしまうものもあるため注意しなければいけません。
本記事では空き家に固定資産税が課税される理由や、土地の固定資産税が6倍になる仕組み、空き家への対策法を解説します。
空き家を所有している人に参考になる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
空き家には固定資産税が課税される
空き家を所有していると、固定資産税が課税されます。
固定資産税は、土地や建物などの固定資産や償却資産を所有している人に対して課税される税金です。
固定資産や償却資産を所有し続けている限り、固定資産税も課税され続けます。
課税されるのは1月1日現在の所有者であるため。固定資産や償却資産を取得したのが4月1日だとしたら、固定資産税の課税が始まるのは翌年からということになります。
固定資産税の納税通知書は4月~6月ごろに届き、分割支払いか一括支払いかを選択し納税しなければいけません。
また、固定資産税の税額は、所有している固定資産や償却資産の価値をもとに計算されます。
評価は3年に1度、評価替えをしなければいけないと決まっているため、固定資産税の税額は3年ごとに変わります。
空き家には固定資産税の減税措置がある
固定資産税にはさまざま減税措置があり、空き家が住宅だった場合も減税の対象となります。
住宅の敷地になっている土地は、「住宅用地の特例」により土地の固定資産税が減税されます。
住宅用地の特例の減税の内容は、次の表の通りです。
住宅の敷地面積 | 固定資産税評価額の軽減率 |
---|---|
小規模用土地(200㎡以下) | 評価額 × 1/6 |
一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 評価額 × 1/3 |
住宅用地の特例は、敷地に住宅が建っているだけで受けられる特例です。
敷地に建っている住宅に人が住んでいるかどうかは関係ありません。
住宅の敷地の面積が200㎡を超えている場合は、超えた部分から軽減率が下がり1/3になります。
空き家の固定資産税が最大6倍になる仕組み
空き家を放置していると、空家対策特別措置法により固定資産税の住宅用地の特例を解除されてしまいます。
ただし、空き家にしているとすぐに解除されるわけではなく、管理されず危険な状態である空き家が解除の対象です。
危険な状態にある空き家を「特定空き家」、特定空き家になりそうな空き家を「管理不全空き家」と呼びます。
管理不全空き家になると、空き家の状態を改善するよう自治体から助言や指導が行われます。
これを無視すると改善の勧告をされ、勧告まで無視すると翌年に特定空き家に指定され、固定資産税の住宅用地の特例が解除されてしまうため気を付けましょう。
住宅用地の特例は200㎡以下の土地の固定資産税が1/6になる制度のため、この特例が解除されると最大で土地の固定資産税が6倍になります。
これが空き家の土地の固定資産税が最大6倍になる仕組みです。
空き家の固定資産税を防止するための対策法
空き家の固定資産税の増額を防止するためには、いくつかの方法があります。
どのような方法があるのか確認し、土地の固定資産税の増額を防止しましょう。
空き家の状態を改善する
管理不全空き家に指定されたときに来る、助言・指導の時点で空き家の状態を改善すれば指定を解除できます。
管理不全空き家の指定を解除できれば、固定資産税の住宅用地の特例を解除されることはありません。
管理不全空き家に指定される要件は「空き家の窓が割れていたり、雑草が生い茂っていたりする状態」とされています。
つまり、空き家の建物の美観を損ねず、敷地をきちんと管理していれば指定されないということです。
空き家を所有した場合には定期的に維持管理をおこない、建物の見た目や敷地の状態がよくなるよう管理していきましょう。
空き家を有効活用する
自宅から空き家が遠く、簡単に維持管理できないという場合は、空き家を有効活用し貸してしまうという方法があります。
空き家の定義は「1年以上人が住んでいない状態の建物」です。
つまり、人が住んでいれば建物や敷地の状態がどのようになっていても、空き家と判断されません。
空き家と判断されなければ、管理不全空き家にも特定空き家にも指定されることはないため、固定資産税の住宅用地の特例が解除されることもありません。
空き家を売却する
空き家を売却するのも固定資産税の増額を防ぐ方法です。
空き家を所有している限り固定資産税は課税されてしまうため、手放して負担を減らします。
空き家の管理ができない場合や、貸し手が見つからない場合、高く売れる場所である場合などは空き家の売却を検討して良い条件であると言えます。
空き家の固定資産税に関する注意点
空き家の固定資産税の増額を防止するときには、注意点があります。
注意点を守らないとかえって損してしまうケースもあるため、注意点を理解して固定資産税の増加を防いでいきましょう。
建物を解体すると土地の固定資産税が上がる
空き家の管理が手間な場合、建物を解体してしまう人がいます。
しかし、建物を解体すると固定資産税の住宅用地の特例が利用できなくなり、土地の固定資産税が最大6倍になってしまいます。
解体費用もかかるうえに、固定資産税も上がってしまうため、解体をするときには固定資産税が上がることを念頭に置いて壊しましょう。
空き家を有効活用するときには賃貸経営計画を立てる
空き家を有効活用し貸し出す場合は、しっかりと賃貸経営計画を立てましょう。
空き家を貸すときには、入居者を見つけるためにリフォームをおこないます。
しかし、リフォーム費用は決して安くないため、家賃で利益を生まなければ損失となってしまいます。
また、入居者が退去した後も、次の入居者を見つけるためにリフォームが必要です。
この場合は、リフォーム費用の一部を敷金でまかなえるため負担は大きくないものの、貸主が一部を負担しなければいけません。
賃貸経営をした結果、損失を生むのであれば有効活用をした意味がなくなってしまいます。
空き家の固定資産税が上がるかは建物の状態による
空き家の固定資産税が増額されるかどうかは、建物の管理状態によります。
空き家を放置し窓ガラスが割れ、雑草が伸び放題であるような状態だと固定資産税が上がる可能性もあります。
しかし、きちんと維持管理されていれば、固定資産税が上がることはありません。
もし空き家の維持管理が大変なのであれば、売却してしまうのも対策の1つです。
固定資産税の増額に対する対処法はいくつもあるため、自分にあった方法で増額を防止していきましょう。
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